2020年best_animation_JP決定戦

 「あのころの未来にぼくらは立っているのかなぁ…」なんて歌ったアイドルは既に解散し、この曲が発表された当時にはまだ生まれていなかった女性声優がソロライブでカバーする程度には時が流れてしまったらしいです。

 西暦の十の位が変わるというのは人生においてそう何度も経験することではないためか、はたまた俺自身が子どものころぼんやり思い描いていた未来に足を踏み入れたせいか、ずいぶんと遠くまできてしまったというか、なんか未来すぎて怖いなという印象すらある一年でした。

 そういった心象を反映してか、2020年は時の重み・経過を感じさせる過去から繋がってきた作品や、逆に現代的な価値観を押し出す未来に繋がっていく作品が多かったような気がします。まあオタクはだいたい作品をその角度から視聴していく年間テーマみたいなのがあり、そのうちのひとつが「時間軸」だったという話ではあるんですが……。

 そこで今回は今年触れ合ったたくさんのアニメの中から、俺の人生を彩ってくれたいくつかの作品と印象的な一話について紹介というか一言感想を述べていこうと思います。概ね巷で流行っている10選と同じです。その上で2020年を代表するbest_animation_JP(best_tubuko_JPの選ぶ最高のアニメ)を選出します。

 レギュレーションは「2020/1/1以降に放送開始し2020/12/31までに放送が終了したアニメ」の一点のみ。ただし個人の趣向として、nクールアニメやn期アニメ(n≧2以上の自然数)、ショートアニメ等は選考から漏れやすい(絶対ではない)という点だけご承知おきください。

 それではさっそく見ていく前に、惜しくも選外となってしまった候補作の一覧と一言感想をどうぞ。



ARP Backstage Pass」(20年冬)

 冬アニメにおいて「力のSHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!!、技のARP Backstage Pass」と並び称された二雄のうちの技のほう。その名の通りAR技術を駆使したライブパフォーマンスが見られるはもちろん、ARPのメンバーが自分たちの過去をドキュメンタリ―風に脚色した本アニメの声優を担当しており、Cパートでは役者本人たちの振り返りと次回予告が見られるという特徴的な構成をしており、はじめから嘘だと分かっている分建前に建前を重ねる多重構造がリアリティラインを侵食しはじめ本当にARPのメンバーが実在しているかのような錯覚を起こさせる不思議な作品。男しか出てこないのに最後まで面白くて凄かったな……。

 

好きな話数 第10話「A'LIVE」

 ほぼ過去のライブシーンの切り貼りでありともすれば手抜きとも呼ばれかねない最終話を、ARPメンバーの積み重ねてきた時間に変換し集大成と呼べる仕上がりにまとめ上げた手腕は見事、まさに技のARPの面目躍如といったところか。そしてドキュメンタリーとしてのARP結成秘話を見た後に本物のARPメンバーからの感謝のメッセージと歌、これで最高のGood-byeにならないやつはいないよ。

 

「ネコぱら」(20年冬)

 人の形をしたネコを飼う(でいいの?)という少しでも手綱を繰り違えれば一発で倫理コードに抵触しかねない電流イライラ棒のような本作だが、人よりも速い時の流れの中で疑似的に生まれる姉妹関係や確かに受け継がれていくものに対して誠実であり、主人公の善性も含め温かい気持ちで見られた。人型ネコという設定が単なるフレバーではなく、鈴の更新試験など特有の問題を織り込むことでなるほどねと思わせる手際も◎。この手のアニメには標準装備されたやたらゴテゴテしたギャグ要素もご愛嬌の良作だった。

 

好きな話数 第11話「カカオの恩返し」

 子どもは思っているよりもずっとはやく成長していて、大人はそれに気付かない。すべての心配は空回りでカカオはひとりでお泊りもできたし反抗期でもなかった。でもきっとそれでいいんですよ家族は心配する生き物なので。書いてもらった自己紹介よりも自分で書いた拙い感謝は幼ネコがちょっとだけ大人になった証拠。

 

「A3! SEASON SPRING & SUMMER、SEASON AUTUMN & WINTER」(20年春夏、秋)

 所謂分割2クールアニメ、1クールに2つの季節を入れ込んだ正当な四季アニメ。冬にはじまった本アニメが制作体制の問題が一度仕切り直しになり、春に春組、夏に向かう季節に夏組、秋に秋組、冬に向かう季節に冬組の舞台を描く形になったことで本当に四季を通した視聴体験に繋がったのは怪我の功名というやつだろうか。季節が変わり人が変わり、何度もぶつかって泣いて笑って、その季節にしか見られない花が咲くMANKAIカンパニーの舞台が俺は好きだったな。

 

好きな話数 第18話「バッドボーイ・ポートレイト」

 登場人物を魅力的に描くにあたって重要なのは背景の提示であることは言うまでもないが、突然悲しい過去をお出しされたところで視聴者は戸惑うことしかできない。一人芝居という作中の流儀に当てはめそれぞれの過去とそれが舞台への熱意に繋がっていることを提示する手法、そしてそれを一気にではなく16話から少しずつひとりひとりに焦点を当てて描き切った誠意、万里くんの後悔はひとつの季節が過ぎ去ったことを示すのには十分すぎたな……。

 

「球詠」(20年春)

 女子高生!野球!危ない作画!と俺が愛してやまない当該作品の生き別れの姉妹のような要素を持つ本アニメだが、姉とは違いだいたい野球をやっていてえらい。やけにフェティシズムを煽る描写が多く、識者による「球詠えっちな目で見ても委員会」が設立されるなどなかなか対応に苦慮するアニメではあったが、梁幽館との熱戦(や崩れがちな作画)のおかげかなんとかそちらに舵を切らずに堪えたところはあるね。俺は球詠ちゃんの作画を馬鹿にするやつと原作のほうが面白いとかいうやつを絶対に許さない。せーの、「球詠はパンツが見えないアニメ!!!」

 

好きな話数 第12話「悔いなく投げよう」

 絶対に折れないエース武田、「完全に逸らした、この私が!?」とかいう面白ワードを咄嗟に放てる自信家山崎、明らかに実態を越えて警戒されてるイキり番長岡田、いいところを全部持って行った中村、何もかもが良かったね……。

勝負事に対して俺は「努力は報われるべき」だとは思わない、負けてしまった側の努力が足りなかっただけだとは思いたくないから。それでもこの試合の結果だけは努力が実を結んだんだって思ってもいいのかなあ。

 

白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE」(20年春)

 有名なおソシャ原作のアニメだがアニメ以外のことは何も知らない(アニメのこともよく分かってない)俺なので原作のストーリーを知らず、当然このアニメがどういう位置づけになっているのかも分からないまま見進めたため、本来受けなくてもいいような衝撃を受けたところは多分にある。ZERO CHRONICLEの意味を知ったときは世界のすべてがZERO CHRONICLEに見えたしなんなら春アニメはZERO CHRONICLEと呼んで差し支えないような終わり方をしたアニメが多かった気がする、これも色眼鏡ですか?

 

好きな話数 第7話「山菜採り」

 白と黒が協力して採った白の食材に黒の食材を合わせて食べる、二つの王国はいつか手を取り合えるという希望を示すはずのその行動は、その裏でどうしようもなく貧富の差を浮き彫りにしていたことに後になってから気付いたんだよな。白か黒かではなく個人の資質として話していたはずのあの瞬間も「地に堕ちてからものを言え」でしかなくて、持つ者と持たざる者はどこまでも対等ではないのだと思い知った。

 

「放課後ていぼう日誌」(20年夏)

 主人公が新しいことを始めて周囲の人に教わりながら成長していくというフォーマット自体は古今東西普遍的に存在するものではあるが、本作の題材である釣りだけでなく元々陽渚が持っていた手芸の趣味と道が交わることもあり、一方的に教わる関係に終始しなかったのが好印象。全体的に瑕疵がなく、しいて言えば20年夏アニメ三大悪のひとりであるさやかちゃん(残りはかのかりのアイツと宇崎ちゃんのアイツら)を抱えている点とパンツが見えるアニメである点くらいだろうか。流れる時間のおだやかさを丁寧に描けていたと思う。

 

好きな話数 れぽーと06「アジゴ

 自分でワタも取れるようになって釣りに慣れてきた陽渚だが、どうせ釣れるからと適当に選んだ竿を持って向かった釣り場は思っていたよりも遠く、荷物は思っていたよりも重い。初心者が故に丁寧に包装されていた無知が少しずつ表出していき、今まで知らず知らずのうちに誰かに助けられていたことを知っていく過程。それでも知らないことは罪ではなく、失敗から思考錯誤することも含めて楽しいと思える肯定を含めて優しいアニメだったなと思う。

 

安達としまむら(20年冬)

 いやー、マジで気持ち悪いアニメだったね……(誉め言葉)。女女のオタクから名前くらいは聞いていたのでてっきりやがて君になる的なアニメだと思ってたらどんどん安達さんが脱輪かましていくので結構驚いた。安達桜さんが美少女じゃなかったらなにひとつ許されてないよマジで。安達さんをもてあそぶしまむらもマジで最悪だったし最悪アニメーション!……なんだけど、無関心女のしまむらの中にも確かに安達の居場所があって、安達が望むふたりだけの世界はきっと幻想でしかなくって、それでも今この世界にはそれがあるんじゃないかっていう祈りを感じる作品だった。同期の虹ヶ咲はずっとふたりではいられないという現実を受け入れながらそれでも変わらないものがあるよという理想を求めたのとは対照的で、現実を受け止めてそれでも最良の結末を目指すのはどうしようもなく意志だけど、俺はそうじゃないけどそうあってほしい世界を求めたっていいと思う、それがアニメなので。

 

好きな話数 第9話「そして聖母を抱擁する愛 マリーゴールド

 明確にしまむらのなかに安達がいることを実感したエピソード。他の女とのデート中に他の女のこと考えるしまむらはかなり最悪だし比較するのもマジで最悪だと思うけど、その仕込みのおかげで安達さんが喜んでるならまあいいかなと思うよ、樽見には申し訳ないけど俺は安達桜さんの味方だからさ……。それはそうと見直してて10話の安達の「わーい!」がしまむらの「これからも仲良くしていこうね!」の具体的方向性としての「わーい!」だったことにようやく気が付いたのでアニメは何度も見たほうがいいらしいね。マジでわーい!っていうのオタクと安達だけだと思ってたけどしまむらも言うんだ……。

 

いわかける! - Sport Climbing Girls -」(20年冬)

 女子高生×ニッチスポーツ枠の一角。最初からある趣味と新しい趣味の融合も含めてフォーマット的には放課後ていぼう日誌と同一をみなすこともできるが、いや今は令和だぞと思わず突っ込みたくなるようなゴテゴテしたアクの強いキャラクターがバカみたいな頻度で登場してくるスピードのような勢いと、真剣に競技に取り組む上で避けては通れない才能や体格の差や肉体的・精神的綻びに正面から向き合い高みを目指すリードのような高邁さがあり、どう視聴していくかオタク側のオブザベ力が試される面白いアニメだった。毎度毎度ラストカットが意味不明すぎて今回はどんなものがお出しされるのか毎週楽しみにしてたよ。

 

好きな話数 第5話「努力と天賦」

 クライミングにおいて体が大きいというのは狭い場所でのバランスが取りにくいという弱点にはなるがそれはきっと努力でなんとかなるんだろう。でも体が小さくて単純に届かないという場合その人には何ができるんだろうか。苦手なこととできないことの違いに目を瞑ったまま生きてきたような気がするな、俺は……。それでも自分がそうしたいと思うことがあるなら泣き言をいう前に少しでも上を目指さないといけないんだろうな。野々華がひとりで歌う「LET’S CLIMB↑」はきっとその意志の表れのように映った。

 

「体操ザムライ」(20年冬)

 俺の好みを度外視すれば20年どころかここ数年でも一番出来の良かったアニメ。たぶん深夜じゃなくても戦える。スポーツアニメというものはTCGやらホビーアニメと違ってルールを知らないままなんとなく視聴するということはあまりなく、途中で説明が挟まったり視聴者がなんとなく察したりすることで競技自体を理解する段階が挟まるはずだが、本作において体操の説明は最低限にとどまっており俺は未だに体操がどういう競技なのかもよく分かっていない(なんで4つもやるの?1つに絞ればいいじゃん)のだが、それでも実況や解説、ライバルたちの反応や映像を見ることで凄いことをやっているというのが分かる、1クールアニメならではの取捨選択の巧さが光る作品だった。

 

好きな話数 #11「体操ザムライ」

 色々言うべきなんだけどそういうのは俺よりも体操ザムライを真剣に見ていた人に任せるとして、「荒垣家」という関係性が血縁どころか種族の壁を越えて形成されていたこと、そして城太郎が家族ではなく体操選手として背中を押す存在であったのがすごいね。4回転に意識を振ることで屈伸荒垣の存在を現地にいた人間と視聴者に隠し通したのも、ほとんど深堀りされずなんとなく察するしかなかった鉄男の城太郎に対する憧れをきっちり描いたのもとても正しい、これじゃ体操ザムライじゃなく正当ザムライだよ……。

 

「NOBLESSE」

 その力、絶大。でおなじみの本作。ライジェル(通称ライ様)が出てくるとまあほぼ解決しちゃうので到着までに時間を稼ぐ戦闘描写はめちゃめちゃ面白いドラゴンボールみたいな気持ちもなくはないが、NOBLESSE、貴族、人間、改造人間と異なる立場や価値観を持つはずの彼らが守るべき、帰るべき場所を獲得していく過程が本当に心地良かった。緩急の付け方も巧く、どうやってるのかは分からないがCパでギャグをやっていいときはギャグ、ダメなところはシリアスと使い分けつつも、いや本来はダメっぽくない?というタイミングでもいい意味で気の抜けるような不快にならないギャグを入れてくれるのが絶大だった。

 

好きな話数 #13「ノブレス/Take Her Hand」

 一度焼き払ったスーツを再生した上で素知らぬ顔で間に合った感を出してくるライ様、萌え……。戦闘スタイルは完全にライ様がラスボスというか悪役側の貫禄だったしなんなら負けイベかな?くらいの力の差はあったが、直接教えるのではなく若い世代に考え行動させる手腕はNOBLESSEの名にふさわしい高貴さがあった。ライ様が人間を好ましく思うのは弱者を愛する貴族の嗜みではなく個では弱くとも世代を超え変わっていける人間の強さを好ましく思う先代ロードの遺志を踏襲したものであることもうれしかったな。全体的にうれしいアニメだった。



 以上、惜しくも選外となったアニメたちの総評でした。残念ながらすべてのアニメを同等の深度で見ることはできないため解像度にバラつきはありますが、いずれも俺が楽しく視聴したアニメであることは間違いないです。

 

 さて前置きが長くなりましたが(マジで長い)、そろそろ本題に入っていきましょう。

これが俺の選ぶ、2020年アニメ7選だ!!!

 

 ……10じゃないのって?はい。

俺にとって2020年はね、漢字一文字にすると「虹」だったんです。光は交わることなく己の色を保ちながらもとなりにいることで虹となる。そういった気持ちを形にすべく、今年はベスト7、7選という形をとっています。まあ厳密には虹はもう七色じゃ足りないんですがそれは俺じゃなく各々が足していくべき色なので……。また便宜上それぞれのアニメには順位がついています。本来アニメには上も下もないんですが、それでも絞りだすようにつけた順位があとから見てなにかしらの意味を持つかもしれないので……。

 

 それではまずノミネート作品から見ていきます。



No.1 SHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!!」(20年冬)

 冬アニメにおいて「力のSHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!!、技のARP Backstage Pass」と並び称された二雄のうちの力のほう。この両作品が並び称される理由のひとつとして、時間軸の使い方が挙げられる。これは感覚の話で申し訳ないのだが、Mashumairesh!!の主観としての現在はおそらくアニメの時系列よりもずっと先に設定されており、そこから振り返るように物語の始点と終点を選んで時間を切り取っているように映る。というのも、たとえば作中ではエールアンドレスポンスはまだCD化されておらず、キミのラプソディーなどは跡形もない。にもかかわらずこの曲が存在するということは、アニメの先にも彼女たちの時間は続いているということに他ならない。ARP BackstagePassが”現在”のARPメンバーが”過去”の自分たちを演じるという体を取っているように、SHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!!もMashumairesh!!メンバーが”現在”と”過去”が分離しているのではないか。これは過去から見た過去、いわば大過去が徹底的に排除されていることからも言えることで、作中ではマシマヒメコが心に傷を追った理由は語られないしエールアンドレスポンスは最初からある、デルミンが一族を追い出された経緯も分からずルフユとの出会いも描かれない。ただ彼女たちが出会ってMashumairesh!!になるまでの過程だけを切り取ってアニメとして描いているからこそ、第12話のサブタイトルはSHOW BY ROCK!!シリーズとしては異例とも言える曲名とは関係のない「Mashumairesh!!」であり、観客(視聴者)に向けた最後の挨拶は「うちたち、Mashumairesh!!でした!」なのである。……とこれではましゅまいれっしゅ!!とARPの対比であってましゅまいれっしゅ!!の評価ではない?了解!

 

好きな話数 第10話「プラットホーム」

 ほわんさん凱旋回。1話以来のえいやっと村であるがあの頃とは違うことがたくさんあるよというのが本話の見所。1話では野菜を収穫しながら鼻唄を歌うときも「なにかいいことありそ!」とオーロラを見上げたときもほわんはひとりで、MIDICITYについたら食べようと思っていたみそむすびはぺしゃんこになっていた。その後ほわんは仲間と出会い、自身にとってのスタートラインに帰ってきて、マシマヒメコと一緒にオーロラを見上げ、ほわんの鼻唄をメロディーに利用した曲を作り、みんなでみそむすびを食べながらUNZに戻っていく。以前と行動が変わったわけではなくあくまで隣に誰かがいるだけ、でもそれだけのことが俺にとってはとてもうれしいことなんだよな。だって「これは、誰にでも起こるとてもありふれた私達だけの物語」なのだから。

 

No.2 「神之塔」(20年春)

 都での流行り病によるアニメの延期さえなければこのクールでアニメの歴史は完結していたと(俺に)言わしめた20年春からはこのアニメを選出。春アニメのトップバッターとして放送した1話ではまあまあな酷評を受けていた本作だが、2話から急激に面白くなり始めた物語(神の水に適合しただけかもしれない)だけでなく急激に萌え萌えになりはじめるワニさん(なぜか小さくなる、萌え)、ワニさんだけで慢心せずに追加される爬虫類仲間のトカゲちゃん(なぜか排出腔が丸見えになる、萌え)、頻繁にヒールをへし折られるも絶対にヒールを止めないおしゃれ番長エンドロシさん、小物っぽいのに最後まで有能だったシビス、悩める中間管理職レロ・ロー、にぎやかし担当槍レボリューションなど魅力的なキャラクターがたくさん出てきてとにかく楽しいアニメだった。主人公の夜は謎が多いのが仕事でもあり、どうしても描写が不足するというかそもそも描いちゃダメでしょという部分が多かったものの、それ以外の部分で余りあるというか夜の人間性や背景があまり分からなくてもクンとラーク、エンドロシとアナクのぶつかり合いやそれでいて認め合っている感じが心地良かったり、それぞれ十分(?)深い家庭の事情をかかえていたりして、ある意味夜のよく分かんねー感が清涼剤だったのかもしれないな。俺はなんだかんだアナクちゃんがアナクちゃんじゃなかった話がいちばん好きなんだけど……。あと全然出てきてないけどホーさんはマジでかなしかったよ、本当に俺たち手を取り合えなかったのかなあ……。

 

好きな話数 第十三話「神之塔」

 第六話と悩んだけどこちらを選択。神之塔での試練は選別者同士の競争であり甘いものではないということは分かっていたはずで、あまり描かれなかったものの裏では死者も大量にでているんだろうなということは分かって、それでもみんながあまりに楽しそうに過ごしているものだから俺は完全に信じ切っていたんだよな、世界と人の善性を。そんな「なんだかんだでうまくいく」という楽観はホーさんの件で断ち切ったはずなのに、ラヘルが夜を突き落としたときやっぱり「なんで?」と思ったんだよ。そんなはずないのに初めて悪意に触れたかのような気持ちになったこの話は、塔の下、スタートラインまで戻された夜にかけられる「ようこそ神之塔へ」の一言とともにやっぱり強く記憶に残っているし、ただでさえ最終話のサブタイトルがメインタイトルというだけで強いのに、それが今までは本当の意味で神之塔を登ってはいなかったという意味が含まれていたのが視聴体験的にヤバすぎてヤバ~しか言えなくなった、ヤバ之塔。あの状態で暗転してエンドロールなんか流されたら放心するしかない、映画見たあとかよ。大事な最終話の尺をほぼすべてラヘルの悪意の描写に費やした大胆さもすごいが……。

 

No.3 「異常生物見聞録」(20年夏)

 激戦の20年夏、第三の男こと「異常生物見聞録」(第三から紹介するんだ)(五十音順だからね)である。このアニメのすごいところはなんといってもあらすじ。一通り目を通してもらえば分かると思うが、なんとこのアニメはあらすじを読むだけで今まで何をやってきたのかが分かるのである。普通はもうちょっとあらすじ文に匂わせが発生して後半の展開が分からないとか、あらすじでは書き切れないほどストーリーが展開して半ば不可抗力で追い切れなくなるというのが常であるが、マジでこのアニメはあらすじに書かれた程度のことしかやっていない。いや厳密にいうと他にもやってはいるのだが、大部分がキャラとキャラのコミカルなやりとりに終始していて、でも実際はそこが本作の核となる部分なんだと思う。種族の異なる存在がくだらないやりとりで怒ったり笑ったりして少しずつ仲を深めて家族になっていく、その過程が本当にうれしいぜ。自己紹介なのか分からんけど「好」と書かれた謎Tシャツを着てるマジの善人好人くんも憎まれ口を叩きながらなんだかんだ莉莉に甘いヴィヴィアンもどう考えても犬だと思ってたらやっぱり犬だった莉莉も(全然まさかではなかったよ)いい人になりなさいと武力で脅迫するイザックスさんもCパートで擦られ続ける五月もまったく能力は高くない魔狩人の三八もマジで全員LOVE……。特にイザックスさんのエピソードは、てっきり俺がサブタイだけ見て好人くんのお母さんが好人くんにそう教えたから彼は善人なのであってその回想がくるのかな~なんて思ってたらアレだからね、あまりにいいアニメ。SDキャラによる次回予告や中国語講座が毎回あるのもうれしすぎるし、20年夏は他の二つが図抜けていただけに肩肘張らずに見られるうれしいがたくさん詰まったこのアニメが本当に好き。

 

好きな話数 #2「神様が雇い主」

私が貧乏なのは宇宙の意思ですわ

 

No.4 「魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~(20年夏)

 激戦の20年夏、表の王こと「魔王学院の不適合者」が堂々のノミネート。まず単純に主人公が強いと……うれしい!お兄様もそうだけど強すぎるとどうなるんだみたいなハラハラ感はなくなってどう力業で解決するんだみたいな視点になるし、だいたい突拍子もないことになって笑ってしまうみたいなことが多かった、人間強すぎる存在を前にすると笑うしかない。更に言うと主人公が人格者だと……うれしい!みたいな感情もあって、昨今では前者を満たす作品はあっても後者がちょっとな~みたいな部分があったところにやってきたアノス様を好きにならぬものはいなかった。家族を大切にしている点も大幅加点。ただアノス様は善人とかお人好しではなくあくまで人格者というのがバランスとして優れていて、相手が助けを求めない限り積極的に首を突っ込んだりはしないし歯向かうやつはきっちりお仕置きする(殺すときは殺すけどあんまり殺さないあたりも人格者)のがストレスフリーで◎。ネクロン姉妹のようなアノスの良さが分かる萌え女はもちろん、ファンユニオンのような”そういう”関係ではないシンパも配置しつつ、力量的にも前世的にも配下っぽさあるなと思ってたけどどんどん友達になれそう感を増していくレイくんやどれだけ力を見せつけられても絶対に因縁をつけ続ける魔族たちも含めてやはりバランスが優れているアニメなんだよな……。あと台詞が絶妙に真似したくなるラインで大変良い。アノス様の「~したくらいで~とでも思ったか?」構文は鉄板だけど「サーシャはアノスのこと、好き?」「バカなの!?」、「山が吹き飛んだわ!」「川も枯れた……」みたいなネクロン姉妹の掛け合いもめちゃめちゃ好き。それはそうと友達のキスってなんですか?

 

好きな話数 第4話「十五の誕生日」

 「正解不正解」歌:アノス・ヴォルディゴードってなんですか?いやでもアノス様なら頼んだら普通に歌ってくれそうな感じあるんだよな、頼んだらビッグカメラのナレーションもやってくれるし……。どちらかしか生き残れないという前提のもとでするアノス様への願いが「サーシャと仲直りがしたい」と「根源の融合魔法を発動してもらう」というお互いに生きてほしいという思いに起因するものだったのがあまりに美しい姉妹愛なんだけど、ミーシャは自分の運命を受け入れてているけどサーシャはミーシャが消える運命をぶち壊そうとして、それでもアノス様ならその先の前提ごとぶっ飛ばしてくれるんじゃねーの?みたいな段階を経た期待があるのがめちゃめちゃ気持ちいい。「何を言う、本当の奇跡はここからだ」の盛り上がり方がヤバいもんな、「俺の答えは、”両方救う”だ」を待ってなかったやつはおらん。いやでもアノス様が強いのは知ってるしアニメ的になんとかしてくれそうだな~みたいなことは当然思ってたんだけどでもまだこの段階では魔王の始祖がどれくらい強いか分からんしな~みたいなふわついた気持ちがあって、アノスが刺されたときももしかしてちょっとヤバい?みたいな不安があったんだけど、それを一掃する「殺したくらいで俺が死ぬとでも思ったか?」の一言とハミダシモノイントロから確定演出、こんなん「俺が魔王、アノス・ヴォルディゴードだ」って言われたらはいそうですとしか言えなくなっちゃうよ……。本来ふたり揃っては救われるはずのなかったネクロン姉妹が笑いあってるだけでも爆加点なのに、今後なにがあってもアノス様がなんとかしてくれることを確信できる力の示し方をしてくれた4話がやっぱり一番好きだな~。それはそうと友達のキスってなんですか?



No.5 「Lapis Re:LiGHTs」(20年夏)

 激戦の20年夏、裏の王こと「Lapis Re:LiGHTs」は魔王学院とは反対に今までのアニメがやってこなかったことをすべてまとめたアニメのような感覚がある。正直このアニメは1クールを通して無駄が存在しないので一部だけを切り取ってお話しするのが不可能だなという感覚があるのでどこが良かったというのは申し上げにくいのだが、ゴテゴテしたキャラ設定を引っ提げた色とりどりの女たちが定期的に女女したり白目を剥いたりしながら進んでいく大変大味な作品の体を取りながら、その実ひどく繊細でかつ現代の価値観に即した内容であり、歴史や伝統を重んじる2020年に時の重みを求めたn期目の他アニメ(今回は選出から漏れたがストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN等)とは逆に、世界の広がりや個人主義を題材にしつつそういうもんだよねという諦めではなくそれでもという希望のタッチで描き切ったのが本当にうまい。病弱の王族であり外の世界をあまり知らない主人公のティアラが王城を飛び出してフローラ女学院に飛び込み、仲間との生活を通しながら成長していく……とだけ書くとよくあるフォーマットのような気がするのだが、なんというか彼女たちはこう……ちょっと度を超えて失敗するのだ。普通だったらうまくいきそうなところでも失敗する、うまくいったかと思えば落とし穴がある、そんなことを繰り返していたら作中最大の(ともすれば最終話で解決して終わるタイプの)目的と思われた「退学回避」ですら失敗し、本当に学院の外に追い出されてしまう。それでも彼女たちは箱庭の外に出たことで別に学院をやめても死なないことや学院という共通の所属を失っても一緒にいたいと思えることを知るわけで、ここでひとつ世界が広がっていく。「自分たちにはできるはずのないオルケストラをやろうと思って実現する」までの広がりを第一段階とすると、本来はここまでしか求められていなかったものの先に進んだ感覚が確かにあって、久々に残りの話数なにをやるんだろうなんてワクワクした気持ちになったね、最終話がどうなるんだ……!みたいな祈りはよくあるけどさ。

 

好きな話数 第12話「Specificity ornament」

 第一の広がりである第7話と迷ったけどこちら。とはいえ12話は結実の部分なのでそれまでの話を含めないわけにもいかず……。本作品で人類の敵となる魔獣という存在ははじめから提示されており、ただあまり作品に絡んでこないことから世界設定というかまあフレーバーなんだろうなくらいに思っていたわけだけど、実際ティアラたちが一歩学院の外に出るとそこには確かに被害があって、平和な生活の象徴であった学院がその最終防衛ラインだったというのを知ったのが第三の広がり。これのうまい点が、単にアニメ側がそれを視聴者に説明してこなかったのではなく、ティアラたちが魔獣を意識していなかった、登場人物が知り得ないことだから視聴者も知り得なかったという構図で、彼女たちの世界が広がるのと俺の世界が広がるのがほぼイコールになっていたのが気持ちいいとともにはちゃめちゃな納得感があった。そして強大な敵といざ戦うとなったとき、自分たちにできることはなにか考えてやっぱりやめとこうよ他のできる誰かがやってくれるよという話も当然のようにあって、「自分ができないことは他の誰かができればいいし、他の誰かができないことは私ができればいい」というひどく冷めた現代的な分業を軸としつつ、「でもできなくてもやるだけやってみない?私も一緒にやってみるよ」という着地に落ち着くのがよくて、今まで失敗し続けてきたLiGHTsの姿を見てきた俺は本当に失敗してもいいんだよなという気持ちになるわけで。そうして重ねてきた積み木の天辺にある「だって私は、お姉ちゃんとは違うんだから」という見ようによっては諦めにも近い言葉がこの作品の本質だと思うんだよな。「確かに私はあなたより劣るかもしれないけどあなたにできなくても私にできることがあるかもしれないし、周りにいる人たちも違う(これがエリザが孤独であったことを指さない、エリザにも仲間がいたことを肯定してるのが本当にうまい)のでうまくいくかは分からないけど違う結果にはなるんじゃないかな」という約束されてはいない未来へ希望を歌う形で物語を締めるなんてなかなかできることじゃないよ。あとシャノワールの裏で兵士くんが死んだときめちゃめちゃビビったしAパのラストでティアラちゃんがティアラさんに精神吸われたときもマジでビビった、なんならそんな状態でオタクムーブしてるラトゥーラちゃんにキレてたし色々感情の変動がすごい回だったな~。



No.6 「アサルトリリィ BOUQUET」(20年秋)

 未曽有の大豊作によりアニメ市場相場に大きな変動を与えた20年秋で最もbest_tubuko_JPポイントが高かったアニメ。率直に申し上げて始めは味付けの濃い女女アニメだと思っていて(流れるEdel Lilieのサビ)、楓・J・ヌーベルとかいう面白女の挙動を見るために見てた部分が割とあった。けど実際は各話に仕込まれた感情の機微が何度も何度も押し寄せてきて、あのときはこうだったけど今は……みたいな対比がめちゃめちゃ行き届いていて見れば見るほど面白くなっていった。特に俺は舞台を先に見ていたので白井夢結に対して「メンタル弱すぎワロタ」くらいの気持ちを持っていて、実際アニメ中でも3話、6話、11話と繰り返し発狂するこの女に介護疲れみたいなものを感じていた節も若干あったんだけど、これは同じことを繰り返しているわけじゃなく発狂するたびに対症療法的にその問題は解決しているけど別のスイッチが押されることで同じような状況になってしまうっていうことでしかなかったんだよな。ヒュージに刺さった大量のCHARMは仲間の死を、ダインスレイフは美鈴自身を惹起させて、段階を経て解消したもののその方法が梨璃が夢結を「刺してでも止める」という本来守り合うべき姉妹としては正しくない終着だった、ということに気付くまではマジで何回同じ話を擦んねんみたいな気持ちもあったけど、まあPTSDとは根気強く向き合っていかないといけないからね……。全体的にハイレベルではあったけどやっぱり結梨については賛否あるというか賛はないかな、人が死ぬと悲しいので……あくまで自分の中で落としどころを見つけられたかという話なんだけど、結梨が亡くなったあとも夢結が梨璃の匂いをかいでみたり一柳隊がレアスキルを組み合わせてみたり、縮地で海を走ってみたり結梨が欲しがった髪飾りだったり、髪飾りの捜索を手伝ってくれた学院のみんなもそうだけど結梨が生きていた証がそこかしこに残っていて、それだけは本当に良かったなと思ってるよ俺は。白井夢結の話をあんまり書かなくて……えらい!

 

好きな話数 第12話「ブーケ」

 最終話ばっかり選びすぎ、それはそう。いやでもAパとBパで別々のうれしさを感じられる本当に素晴らしい回だったので許してほしい。正直俺は夢結の復活に丸々1話使うんじゃないかなと思っていて、まあそれは11話を見て俺が解決したと思っていた問題は解決してなかったんだということに気付いたからなんだけど、でも実際問題はほとんど解決していて解決してないと思っていたのは夢結のほうなんだよねっていうね。だから夢結はすぐに立ち上がるしルナティックトランサーを制御した夢結が梨璃を守ってその夢結を守るために梨璃が飛び出してCHARMを合わせたタイミングでカリスマが発動し結界が中和されるのがあまりに美しい流れだぜ、姉妹が正しい形になったということなので。そして「きっとみんながやっつける方法を見つけてくれる」と信じた梨璃に応えるように動き出す一柳隊の仲間と流れ出す挿入歌、ヒュージがマギスフィアをパスカットしてくる愉快さと若干の焦り、当たり前のように飛び出す梨璃と後を追う夢結、学院全体に広がるノインヴェルト、そしてふたりのフィニッシュショット、ウオ~~~~~!一連の流れが本当に気持ちよくて、梨璃のいう「みんな」が外側へ広がっていく感覚もそうだけど今まで散々ネタにされていた毎回の名前表示が「確かに今その人がそこで自分の意志に基づいて戦っている」という証明になっているのがキマりすぎてて、そこにマギを吸い過ぎているマギスフィアを梨璃ひとりでは支えられないとみて夢結が弾く→天葉ひとりではこぼしそうなところを樟美が押さえる→ひとりで受け取った依奈のCHARMがぶっ壊れるとどんどん規模がデカくなってるのが分かるのがマジですごい、他のネームドも出番は一瞬で一画面に複数人出てくるけどあれはあの一瞬をあの人数で支えてるってことで、だからこそラストパスを一柳隊7人でやる意味がさ、俺はさ……。あと「お姉さま私のことそんな風に思ってたんですか!?」がマジで好き、今までずっと自分を責めるだけだった夢結が他人のわるいところ(わるいとは思っていない)ところをちゃんと言えて、言えるということは認めるということで、「私の言うことなんていつも聞かない」ところも「自分より他人のことに一生懸命」ところも梨璃だと認められた今だからこそカリスマの影響に怯える必要もないんですよね、だってそれも梨璃なので。と、本来ここまでやってくれれば大満足だったのにも関わらずなんとまだ尺が半分残っていて、これまでは「百合ヶ丘女学院のリリィとして身だしなみを整えながら自分の意志で行動する」というガワの話をしてきたところ、学年の壁を越えて制服というシンボルを脱ぎ捨てた入浴での場面転換を挟んだ後で夢結と梨璃の内面の話をしてくれて本当にうれしかったぜ。お互いに制服のタイを外して裸になるのは文字通りお互いに胸襟を開いて建前や属性を捨てるということで、姉や妹のような立場を捨てた梨璃が夢結にかける「でも私、どうしても分からないんです」「好きなら好きで、それでいいと思うんですよね」という言葉は、ずっと同じ姉妹としての立場から美鈴の気持ちに対して「分かります」「分からないけど分かります」と言ってきた梨璃がはじめて自分として好きなら好きでいいじゃんって言ってるわけで。もし夢結が美鈴とフラットな関係になったとき美鈴もそう言ってくれるんじゃないかという希望もありつつ、夢結が梨璃のことを好きだと言ってもいいという赦しでもあるんだよな。これまで夢結が美鈴を忘れること、過去にしてしまうことを恐れて抵抗してきたことを考えると、過去と今のふたつの髪飾りを大切にする梨璃がかけてくれたこの言葉が夢結にとってどれだけ救いになるんだろうかと考えてしまうよ。なんかデッカいことをやって終わりでもいいけど最終話が魂の救済に使われるアニメは……名作!なんかここだけ記載が多すぎだろまあしょうがないよね最近のアニメほど記憶に残りがちなので、あと俺は白井夢結が好きなので……。



No.7 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会(20年秋)

 遡ること一年前、女性声優がいるという理由で適当に参加した1stライブであまりにあくどい資本主義構造や女性声優の悲鳴(主に対立を煽るオタクへの)を見せつけられ、キレ散らかした結果インフルエンザを患い心ないオタクに「メンヘラを拗らせた」とまで揶揄された因縁の相手がアニメになって帰ってきた。ラブライブシリーズは実は無印を3話くらいまで見てやめた(単純に見逃したのとEDのCGが不気味の谷に入ってしまった)くらいでほぼノータッチだったところ、俺を挑発するかのように現れたこいつを見てリベンジマッチだ下手なもん見せたら二度と許さねえからなと思い見始めた本作品、粗を探してやるくらいの気持ちで見始めたのに全部が綺麗で驚いちゃったね、やっぱデカい資本はすげえよ資本主義最高!主人公の属性がマネージャーっぽいところもあり稀代の名作音楽少女の再来かと噂された本作だがステージに上がる以外の夢を自分で見つけられたのは本当によかったね、みんなの夢を叶える場所(スクールアイドルフェスティバル)はさすがにアイドルの一片(シャイニング・ピース)じゃないかと思うけど……。元のラ!を知らないので対比とか変遷という形では捉えられなかったけど、ラ虹は20年アニメにふさわしく個として存在し並びあうことで虹になる系アニメーションで、ユニットを組んで群としてみんなで協力しがちなアイドルアニメにおいて、ソロアイドルとして自分のやりたい方向に進みつつたまには競争になることもあるけどそれでも手を取り合えるというスタンスはすごくよかった。同季のあだしまが「人間はふたりでは生きていけない」という事実と立ち向かう”祈り”のアニメであるとしたら、ラ虹は「人間は個として生きるとき競争が発生する」という社会的生物としての純然とした事実は受け止めつつ、「それでも」という理想に向かう気持ちを描いた”願い”のアニメだったなと思う。ニュアンスで話しすぎ?はい。まあ正直なところラピライと順番が逆だったらもうちょっと刺さったかもしれないけど逆だったら文脈が読めたか分かんないな~みたいな気持ちがあり、アニメ視聴むつかしいね。このアニメめちゃめちゃ綺麗でお金のあるラピライじゃない?違う?あと単純に毎回かすみんがかわいくてよかったね、こんなとこ中須には見せられないな……。

 

好きな話数 第7話「ハルカカナタ」

 彼方ちゃんがただ眠たいだけのやつじゃなかったの結構びっくりしたよね。この話が始まった時点で察しのいい(そして心ない)視聴者は「いや分担しろや」と思ったような気はするけど、たったそれだけのことが本人たちには分からないなんてことはよくある話で、頑張り屋さんなお姉ちゃんの彼方ちゃんは妹の前で弱みを見せたくなくて隠しているなんてのもまあよくある話なんだけど、視聴者にとっては当たり前になっていた彼方ちゃんのお昼寝を一番近いはずの家族が知らなかったという事実はそれだけでふたりがすれ違っていることの理由としては充分だし、遥がスクールアイドルをやめて家事を手伝うと言い出したときも遥が知らないスクールアイドルとしての彼方を見せることでライバル心を煽るという手法は「仲間だけどライバル、ライバルだけど仲間」という本作のコンセプトに合っていてよかった。スクールアイドルを辞める理由も復帰する理由も「自分の知らなかったことを知る」ことに起因していて、「遥がスクールアイドルである」という事実は最初からなにも変わっていないのに、絡まったコードが少しずつほどけて正しい状態に戻っていくようなうれしさもあったね。家事は急にはうまくならない(ところまで描いたのもえらい)し彼方ちゃんの負担はあまり減らないどころか教える分増えるかもしれなくてたぶんこれからもお昼寝は続くんだろうけど、きっといつかお昼寝しなくてもいい日がくるといいねと優しい顔で微笑んでいるよ俺は。



以上7作品が2020年best_animation_JPノミネートとなります。

 

ここまででだいぶ字数が嵩み疲れ切っているのでさっそく結果発表に移りましょう。

まずは第3位……

 

SHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!!」!

 

審査員(俺)によるとマシマヒメコの「バンドって、なんかヤバいね!」加点が大きかったようです。俺は本来救われるはずのない誰かが誰かと運命的な出会いを果たし救われるのが……好き!あの日言えなかった言葉が出てくる瞬間が……好き!

あと女性声優が楽器弾くタイプのライブしてくれる恩義もある(本音)。

 

続いて第2位……

 

「アサルトリリィ BOUQUET」!!

 

審査員(俺)によると白井夢結の「なのに、梨璃は私の言うことなんていつも聞かなくて!」加点が大きかったようです。俺は本来救われるはずのない誰かが誰かと運命的な出会いを果たし救われるのが……好き!あの日言えなかった言葉が出てくる瞬間が……好き!2

あと女性声優が武器持って歌ったり踊ったりするタイプの舞台してくれる恩義もある(本音)

 

そして栄えある2020年best_animation_JPに選ばれたのは……

 

「Lapis Re:LiGHTs」!!!

 

最終話放送後10時間に渡って感想戦を続けたあと極度の脱力によりその後の連休をなにもすることなく過ごした記憶が視聴体験としては圧巻だったか。

また女性声優に対する恩義もなしにただアニメの力だけで殴ってくるその強さが最後に勝敗を分けたと言えるでしょう。

 

それでは最後に結果をまとめて見てみましょう。

2020年best_animation_JP結果一覧

第1位 「Lapis Re:LiGHTs」

第2位 「アサルトリリィ BOUQUET」

第3位 「SHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!!」

候補作  「神之塔」

候補作  「異常生物見聞録」

候補作  「魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~

候補作  「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

選外   「ARP BackstagePass」

選外   「ネコぱら」

選外   「A3! SEASON SPRING & SUMMER、SEASON AUTUMN & WINTER」

選外   「球詠」

選外   「白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE」

選外   「放課後ていぼう日誌」

選外   「安達としまむら

選外   「いわかける! - Sport Climbing Girls -」

選外   「体操ザムライ」

選外   「NOBLESSE」

 

 それではみなさま、2020年を戦い抜いたアニメたちに今一度大きな拍手をお願いいたします。もう一度申し上げますが、今回は便宜上順位をつけましたがそれは俺の好みであり作品の良し悪しではありません。いいわるいではなくそのアニメはそのアニメだと言える強さを俺たちは20年アニメに教えてもらったはずです。

 それでは2021年もより多くのアニメと出会えることを祈りまして、2020年best_animation_JPを受賞した「Lapis Re:LiGHTs」よりこちらの言葉を借りまして閉会の言葉とさせていただきます。

 

「だってこのアニメは、他のアニメとは違うんだから」




 

 

 

・おまけ

……

みんなもう寝静まったかな?

それじゃあやっていくぜ今回の裏テーマ、「best_voiceactress_JP」決定戦を……。

いやあくまで20年アニメの記録を自分なりにまとめておくのが目的だったので大まかな目標は果たしているんですが、途中で女性声優の話題に撚れた以上この辺も書いといたほうがよくない?よくない、そっか……。

まあでも好きな女性声優が好きなアニメに出るって意外となくて、好きなアニメベースが考えたらこの人に恩義を感じていたね~みたいなのがあり、そういうのも一応記録に残しておいたほうがよくない?よくない、そっか……。

うるせ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!

それじゃさっそく発表します、栄えある2020年best_voiceactress_JPは……

 

best_animation_JP部門にて

2位「アサルトリリィ BOUQUET」より 白井夢結役

3位「SHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!!」より マシマヒメコ役

候補作「魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~」より サーシャ・ネクロン役

候補作「異常生物見聞録」より ヴィヴィアン役

グランドスラムを達成したこの女(女性声優をこの女とか呼ばないほうがいいですよ)~~~~~~~~~~

 

「夏吉ゆうこ」さん

 

に決定です!おめでとうございます!

いやマジで好きなアニメの好きな女押さえられたらマジで逆らえん、マジで。

俺と白井夢結を解放してくれ頼む。

 

本当におわり